我が子についての相談コーナー心の救命カウンセリング

カウンセリングの土台

私のカウンセリングは、クライアントの話を聞くときは「傾聴法」を基本にしていて、クライアント に働きかける時には「認知行動療法」を基本にしています。

ひたすら聴く時にも、働きかけをする時にも、私の相手(クライアント)に対する思いは、「相手を人間として強く深く信じること」です。つまり、相手を信頼し愛情を持って相手の「善意」を信じることです。これが、「実存分析」と呼ばれるカウンセリングの土台です。

私はカウンセリングを進めていく時に、様々なツールを使いながら「問いかけ」をしていきますが、すべてがこの「実存分析」と呼ばれるカウンセリングの土台から出て来て、この土台に帰っていきます。

「自己像」がつかめない

不登校や引きこもり、そしてストレス障害の人たちの多くが「自分が嫌いという感情」や「自分も人も信用できないという思い」に苦しんでいます。

こころの奥底にあるのが「強い自己否定の気持ち」で、「ありのままの自分を受け入れられない」、そして「人に対して自分を正直に出してはいけない」という心の矛盾を自分ではどうしようもないのです。

ほとんどの人がこうした「こころの矛盾」を自覚することさえ出来ません。辛さ苦しさは感じていても、その理由や原因について考えると頭が混乱してしまいます。これは子供だけでなく、大人でも同じです。

根っこのところにある問題は、「本当の自分が見えていない」と言うことなのです。「自分」に対して無自覚なため、自分がどういう人間なのかということをしっかりと掴むことが出来ません。つまり自分をしっかりと見つめられないために、自分にとって自分がどのような人間なのかをちゃんと説明できないのです。

私は、この問題を「自己像不全」の問題と呼んでいます。

その結果、なぜだか良く分からないけれど「学校に行けない、社会に参加できない」、なぜだか分からないけれど「生きていること自体が苦しい」という辛い毎日に直面して、うまくやっていけない自分がますます嫌いになるという悪循環にはまってしまいます。

自分では解決できない問題ですから、中には無意識にこの問題をこころの奥底に押さえ込もうとする人もいます。毎日パソコンやゲームに長時間のめり込む人がそうですし、無意識に自分を否定しようとして拒食症などの摂食障害になる人もそうです。

そして、多くの人が、人と自分との関わりから離れようとします。つまり、自分と人とのつながりを無意識に拒否しようとするのです。

こころの痛みに耐えられない

このように自分では自覚しにくい原因から暗中模索で悩む人とは対照的に、親や友達や先生に裏切られたと感じ、大きな精神的なショックを受け、泣き叫んだり、苦しみのあまり寝込んでしまったりする人もいます。激しいこころの痛みに耐えられないのです。

精神的な打撃がもっとひどくなると、茫然自失の状態になり、「何も感じない、何も考えない、何も言わない」というやり方で自分のこころを守ろうとする人もいます。もう、こうなると声を出して泣くことさえ出来ません。専門的には「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」と呼びます。

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロで貿易センタービルが崩壊した時に、その真向かいのマンションに住んでいた少女がいました。彼女は、ビルが崩壊する直前に何人もの人がビルから飛び降りるのを間近に目撃してしまったのです。

そんな光景を見れば誰だってと思われるでしょうが、現代の日本では、特に「学校」という子供社会で一見小さな出来事から過大な精神的打撃を受けて、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を起こす子供が少なくないのです。

こころが壊れてしまうと・・・

このように「自己像不全の問題」から「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」まで、多くの子供達が非常に幅広い様々な苦しみを抱えて「生きること」に立ち往生しています。こうした状態が続くと、こころはやがて壊れてしまいます。

こころが壊れてしまって、あるいは、こころが壊れたままある期間が過ぎてしまうと「引きこもり」になります。引きこもりは、肉体的には生きていますが、社会的には「生きる力」がない状態です。

人が信じられず、その上自分さえ信じられない、そして、こころの痛みと苦しみに打ちのめされれば、人とのつながりを維持していくことはほとんど不可能です。これが世に言う「引きこもり」の原因です。

自己否定の痛みと苦しみが「摂食障害」になって現れる人も少なくありません。そして拒食症は「餓死」に直結する深刻なこころの病です。

信じられない方が多いと思いますが、この飽食の現代日本で餓死する少女が後を絶たないのです。今、多くの子供たちが不登校から引きこもりに進んでしまったり、引きこもりにならないまでも不登校の後遺症を引きずって、摂食障害を起こしたり、性格が変わってしまったり、生き甲斐を見いだせないまま消極的な人生に甘んじているという現実があります。

また一見立ち直ったように見えてはいても、いつまでも過呼吸やフラッシュバックなどのパニック発作が治らない人がいます。これは「長い時間の経過」でさえも、心が受けた傷や打撃、ストレスをなかなか癒すことが出来ないということを表しています。

こうしたことからも、こころが受けた傷や打撃、ストレスというのは、それが不登校や摂食障害を引き起こすほどに激しいものの場合、こころの奥底に生々しく残って、簡単に癒されるものではないことが分かります。

ある校長先生があるところで「倒れたら立ち上がればいい」と言っているのを聞いたことがありますが、そんな生やさしい話ではありません。こころの傷というのは、しばしば自分の力だけでは立ち上がれないから恐ろしいのです。これは、子供でも大人でも同じです。

自分自身を発見する旅

「こころの救命カウンセリング」は、このページの最初にご説明した「実存分析」の土台の上で「傾聴法」や「認知行動療法」を駆使して、ごくごく易しいところから自分自身を見つめ自分自身に取り組み、自分自身を掴んでもらうカウンセリングです。

カウンセリングを通じて、こころの矛盾や葛藤を解きほぐし、知らず知らず陥っている勘違いや思い違いを正して、本来の自分を取り戻し元気に輝くための心理的なトレーニングでもあり、自分自身を発見する旅でもあります。

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